君と旅の途中










あー悲しい悲しいと棒読みをすると、穂希はしばし沈黙してそれから隣に座ってきた。













「……穂希?」











「お隣失礼しまーす」














にこっと明るい笑みを向けられて、戸惑う。














「一緒にご飯食べよ?」










「は? いや、でも……暑いだろ? 教室で食べたほうがいいんじゃないか?」









「それは都生も一緒でしょ?……いいからいいから。一人で食べるの寂しいよ」














いや、そんなことはないけど。











でももう穂希は菓子パンの袋を開けていて、俺は諦めておかずを口に運ぶ。















少しでも早く教室に戻りたくて、かき込むように食べ進める。















「……相変わらず、都生のお弁当っておいしそうだよねぇ。自分で作ってるんだっけ?」








「あぁ……うん。そうだけど」















いつの間にか穂希は俺の弁当を物欲しそうに見ていて。














その手に持たれた袋はもうすでに空で、今日の昼食分をすべて食べきってしまったようだった。














しまった、穂希は大食いだという事を忘れていた。









……こいつが俺と一緒に食べることにしたのは俺の弁当が目当てだったりしないよな?






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