君と旅の途中
「まあね。穂希ちゃんは俺の彼女だから」
「……」
とげっとげの嫌味を発射するも、笑顔で打ち返されて眉間にぴきっと皺が寄った。
本当にこいつは……発言の一つ一つが気に障る。
絶対高田は何かたくらむタイプだろう。
つかみどころがなくて、どことなく怪しくて。
どうしても好きになれない。
俺はぐっと怒りを飲み込んで、ふっと高田から顔をそむけた。
「それじゃあ俺急いでるんで」
「あっ。待って」
「?」
去り際に引き留められて、俺は首を傾げつつ振り返った。
するとニコリと陰った笑みを浮かべた高田と目が合う。