君と旅の途中
「最後に都生にあえてよかったよ」
「……最、後?」
陰りのない笑みと、『最後』という言葉に胸がドクンと嫌な音をたてた。
「最後……って、どういうことだよ?」
「……」
震えそうになる声を必死で振り絞ってそう聞くも、穂希は笑顔を張り付けたまま、何も言わない。
「おい、穂希……何か、言ってくれよ」
「……じゃあね。都生」
「ほま……っ⁉」
そういうなり、穂希の身体が後ろへと傾く。
咄嗟に差し出した手は穂希の手をすり抜けて、穂希は崖の下へと落ちて行った。
「ほ、まれ? 穂希……?」
俺は崖にふわふわとした足取りで駆け寄ると、下を覗き込む。
夜中ということもあって、穂希がどうなっているのかは視認できない。