君と旅の途中
もしかしたら、穂希は……もう。
そう頭が理解すると体の震えが止まらなくなって、俺は飛び跳ねるように立ち上がる。
『じゃあね。都生』
その言葉を思い浮かべるだけで心臓が嫌な音をたてて、走って穂希の家へ向かう。
『……都生君? 急にどうしたの?」
「あ、あのっ、穂香さん……お、俺、どうすればっ」
インターフォンを押すと穂香さんが出て、俺は何を言えばいいのかわからなくて、必死に訴えた。
すると穂香さんは困惑したような顔をして、そとまで出てきてくれた。
「都生君? どうかしたの、こんな夜中に。穂希なら家にいないけど」
「ほ、穂香さん……穂希が、穂希がっ」
ただそういうことしかできなくて、震えていると、穂香さんは背中をさすってくれる。