君と旅の途中
「……ほんっと、いい迷惑だよ」
……え?
すっと顔を上げた高田はうっすらと笑みを浮かべていて、俺は大きく目を見開いた。
……今、何て……?
思わず耳を疑ってしまう。
「あいつ、自殺したらしくてさ。本当に馬鹿な女だよ」
「うっわ。ひでー! ってか、死んだのってお前のファンの女子のせいだろ?」
「は? 俺のせいにすんなよ。ファンって言っても、勝手に盗み見されたりしていい迷惑だっつーの。そいつらが『勝手に』穂希に嫌がらせしてただけだろ」
こいつは……何を言っているんだ?
呆然として、少しよろけてしまう
突然口調が変わった高田なんて、どうでもよくなるくらい。
それくらい、衝撃的な事実だった。
床が柔らかいものになったかのように足元がぐらついて、目が回る。
動揺で音をたてなかったのが、不思議なくらいだ。