君と旅の途中
……穂希が、嫌がらせを受けていた、だって?
それをこいつは……知っていたのにも関わらず、何もしなかったのか……?
ドクン、ドクン、と耳の奥で心臓の音がやけに大きく聞こえる。
それで、俺は気が付いたら、高田に詰め寄っていて。
冷たい目と、目が合う。
「おやおや、真澄くん。どうしたの、急に。びっくりしたよ」
「っお前が、穂希を殺したのか?」
「……あぁ、聞いてたんだね」
そう切り出すなり、高田は優しい王子様の仮面を外して、唇の端を持ち上げる。
「だったら、何?」
「っ……!」
俺がカッとなって高田の胸倉をつかむも、そいつは眉一つ動かさず、クラスメイトらしき男に、出ていくように言った。
その冷静な様子に、俺はさらに頭に血が上って、ギュッと、強く握る。