君と旅の途中
パンッパンッとシャツをはたいて皺を伸ばし、それからこちらに視線を送る。
「君が穂希ちゃんの話を聞こうとしていたら、こんなことにはならなかったんじゃない?」
「そ、れは……」
否定したくても、一体何といえばいいのかわからなくて、何も口に出せない。
とどめと言わんばかりに高田は俺に囁く。
「……君は穂希ちゃんの幼馴染だろう?」
「っ……!」
それはさっき俺が高田に放った言葉で、ぐさりと胸の奥深くに突き刺さった。
俺の……せい、だったのか?
俺が、あの時……穂希に冷たく接したから?
『都生、どうしたの……? 私の事、嫌いになっちゃったの?』
そう言って俺にすがる、穂希の泣き顔も。
『じゃあね。都生』
あの、苦しみ交じりの笑顔も。
穂希が苦しんだのは……穂希に、あんな顔を刺せたのは……俺、だったのか?
考えれば考えるほど、悪い考えが脳内を埋め尽くしていく。
……呼吸が、うまくできない。
指先が冷たくなって、無意識にギュッと握りしめた。