君と旅の途中
いや、普通に聞けばわかるだろ。
無茶ぶりに見事応えたものの酷評される不憫な穂希。
食レポを振ると穂希はパチパチと目を瞬かせた後、ごほんと咳払いをし、実際にやってのけた。
食レポは正直うまいと思ったけど、俺は何か文句を言いたくなるお年頃なのだ。
「……ほーまれ。ごめんって、いつまで怒ってんだよ?」
「怒ってません、穂希ちゃんは都生君みたいな低俗な人間と違うのです」
いや、その顔はあからさまに怒ってんだろ。
穂希は膨れっ面でそっぽを向いていて、俺は少しからかいすぎたかと苦笑する。
食レポをしたご褒美にと残り一つのから揚げを献上すると、単純な穂希ちゃんはすぐに機嫌を直した。
もぐもぐとリスのように小さな口いっぱいにから揚げを頬張る穂希は正直かわいくて、俺はじっと見つめた。
いや、かわいいというのは女子としてではなく、ペットを愛でているような感覚だけど。