君と旅の途中
……忘れられるわけ、ない、だろ。
ぐしゃりと髪を掻いて、しゃがみこむ。
冷えた手が、熱を持った頬に触れた。
……冷えた指先を、温めてくれる人も。
明るい笑みを浮かべて隣を歩いてくれる人も……もう、いない。
その事実がとてつもなく、怖くて。
荒い息を繰り返した。
子供だとか、大人だとか、そんなことは関係ない。
俺は……俺は、一人では何もできないんだ。
俺は手で顔を覆って、ギリっと奥歯を噛み締める。
俺は大事な人も、亡くしてしまったんだ。
失ってから、やっと気が付いた。
俺は気づくのが、遅すぎた。