君と旅の途中
……あ。そういえば。
「そういえばお前、彼氏様はどうしたんだよ?」
「ッ⁉」
ふと頭に浮かんだ言葉を口にすると、穂希はごふっと変な音をたてた。
真っ赤になってパクパクと口を動かすも、声は出てこない。
どうやらから揚げが喉に詰まったらしい。
「大丈夫か。ほら、お茶」
「ッ……っ‼」
『よーいお茶』のペットボトルを差し出すと、穂希はひったくるように受け取り、ごくごくと一気飲みをする。
そして、ばんっとベンチに空のペットボトルを置くと、口を片手でぬぐう。
「っは、はぁ~……し、死ぬかと思った……」
「大丈夫か? それでお茶を差し出した命の恩人への感謝の言葉はないんですかね?」
背中をさすると、穂希はしばらくした後くわっと鬼の形相で俺の手を払いのける。