きらめきを抱えて、口にして。
*1
*1「ぴかぴかの」
最高気温17℃、晴れ。
朝のニュース番組で、しっかりと天気予報をチェックしてきた。
まだ生地が硬いブレザーは、肩の可動域が狭まったように感じる。幼い頃に見たアニメに出てきたロボットのように、いかつい肩になっている自信がある。
頬を撫でる風は生ぬるくて、桜の花びらがそよそよと流されている。
今日は入学式。
校門まで徒歩10分で行ける、家から1番近い高校。
志望した理由はお察しの通り。東京の郊外、住宅街と緑が共存する穏やかな場所。ただし、高校から駅までは少し遠く感じるのが欠点。
偏差値は中の下。数年前まであまり治安がよろしくなかったのは、地元民の記憶にまだ新しい。
外から見た回数は幾度と数えられないけれど、中に入るのは受験関係で来た時くらい。
校門をくぐり抜け、ついに今、高校生活の幕が上が――
「いえーい! いっちばーん!」
「海斗! 危ない!」
それは、鈍い衝撃だった。
背中に広がる痛み。気付けば、地面とこんにちは。
――ああ、これが高校生活の始まりか。
遠くで何かが聞こえるけれど、よく聞き取れなかった。