きらめきを抱えて、口にして。
・
薄く目を開くと、一面が白かった。どこだここ。屋内ではあるけれど。
「気が付いた!?」
視界に飛び込んできたのは、茶髪の知らない男。え、誰。
というかこの状況なに……近い。
「海斗、乗り出しすぎ。この子驚いてるよ」
「うわ! ごめん!」
海斗と呼ばれた人の顔が遠ざかる。横を見ると、もう1人黒髪の男がいた。
あれ、私、なんでベッドで寝ているんだ。
「えっと、ここは……」
「保健室!」
「保健室……?」
「てか、さっきのごめんな! 痛くない!?」
「さっきのって……」
「海斗が周りを見ずに走って、君にぶつかったんだよ」
「マジごめんな!」
そうだ。校門をくぐり抜けたところで後ろから何かがぶつかってきて……この人だったのか。
「大丈夫ですよ……ってああ! 入学式! 今何時!?」
ガバッと起き上がり、周りを見渡す。目に止まった壁掛け時計は、12時過ぎを指していた。
「じゅっ、じゅうにっ……ひっ……!?」
一気に血の気が引いたような気がした。12時ってことは昼の12時だよね。ということは、
「入学式終わっちゃったってこと!?」
どうしようどうしよう入学式出られなかったし、気付けば昼の時間だし、もう一体どうしたら……この人たちは誰……頭が回らなくなってきた。
「朔夜〜この子大丈夫かな、パニクってるように見えるんだけど俺がぶつかったからかな〜」
「どうだろうね」
「やっぱり俺のせい!?」
「海斗は周りを見ずに突っ走る癖があるから気をつけてね。こんなに華奢な子が何メートルか吹っ飛ばされるの見て、俺は肝が冷えたよ」
「肝が冷えるって何? 朔夜の朝ごはんはあん肝だったの?」
「海斗……高校では国語の授業頑張ろうね」
何だこの2人の会話は。聞いているこっちが逆に冷静になってしまった。
ツッコミどころがありすぎて処理しきれない。
「あの、すみません。私が茶髪の方と衝突して数メートル吹っ飛んだというのもまあ色々言いたいですけど一旦置いておいて、入学式ってもう終わりました?」
ツッコミをせずに本題に入ると、2人は気まずそうに顔を見合わせた。黒髪の男が口を開く。
「申し訳ないけど、入学式もその後の教室での集まりも終わったよ。帰りのSHRも終わって、今は放課後だね」
「放課後……」
現実が突き刺さる。この人たちはいつから私のベッドの横にいたんだろう。
「えっと……あなたたちはずっとここにいたんですか?」
「いや! 君が目ぇ覚ますまでここにいるつもりだったけど先生に引き剥がされた! だから俺たち入学式出て、全部終わってからまたここに来たの! そしたらすぐ起きたんだよ!」
「そうだったんですね……というか1年生ってことはタメか。2人が入学式出てくれてよかった、私のこと気にかけて出なかったら申し訳ないなって」
「大丈夫だよ、ちゃんと先生に連れられたから。海斗は抵抗してたけど」
「朔夜だって心配してたじゃーん!」
「ふふ、ありがとう」
私はベッドから降り、ベッドの下に添えてあるスリッパを履く。そうだ、上履きはかばんの中だ。このスリッパは、誰かが用意してくれたのだろうか。
ベッド脇にあるカゴから、黒い合皮のスクールバッグを手に取る。
「2人とも心配かけちゃってごめんなさい。もう大丈夫だから帰ろうか」
薄く目を開くと、一面が白かった。どこだここ。屋内ではあるけれど。
「気が付いた!?」
視界に飛び込んできたのは、茶髪の知らない男。え、誰。
というかこの状況なに……近い。
「海斗、乗り出しすぎ。この子驚いてるよ」
「うわ! ごめん!」
海斗と呼ばれた人の顔が遠ざかる。横を見ると、もう1人黒髪の男がいた。
あれ、私、なんでベッドで寝ているんだ。
「えっと、ここは……」
「保健室!」
「保健室……?」
「てか、さっきのごめんな! 痛くない!?」
「さっきのって……」
「海斗が周りを見ずに走って、君にぶつかったんだよ」
「マジごめんな!」
そうだ。校門をくぐり抜けたところで後ろから何かがぶつかってきて……この人だったのか。
「大丈夫ですよ……ってああ! 入学式! 今何時!?」
ガバッと起き上がり、周りを見渡す。目に止まった壁掛け時計は、12時過ぎを指していた。
「じゅっ、じゅうにっ……ひっ……!?」
一気に血の気が引いたような気がした。12時ってことは昼の12時だよね。ということは、
「入学式終わっちゃったってこと!?」
どうしようどうしよう入学式出られなかったし、気付けば昼の時間だし、もう一体どうしたら……この人たちは誰……頭が回らなくなってきた。
「朔夜〜この子大丈夫かな、パニクってるように見えるんだけど俺がぶつかったからかな〜」
「どうだろうね」
「やっぱり俺のせい!?」
「海斗は周りを見ずに突っ走る癖があるから気をつけてね。こんなに華奢な子が何メートルか吹っ飛ばされるの見て、俺は肝が冷えたよ」
「肝が冷えるって何? 朔夜の朝ごはんはあん肝だったの?」
「海斗……高校では国語の授業頑張ろうね」
何だこの2人の会話は。聞いているこっちが逆に冷静になってしまった。
ツッコミどころがありすぎて処理しきれない。
「あの、すみません。私が茶髪の方と衝突して数メートル吹っ飛んだというのもまあ色々言いたいですけど一旦置いておいて、入学式ってもう終わりました?」
ツッコミをせずに本題に入ると、2人は気まずそうに顔を見合わせた。黒髪の男が口を開く。
「申し訳ないけど、入学式もその後の教室での集まりも終わったよ。帰りのSHRも終わって、今は放課後だね」
「放課後……」
現実が突き刺さる。この人たちはいつから私のベッドの横にいたんだろう。
「えっと……あなたたちはずっとここにいたんですか?」
「いや! 君が目ぇ覚ますまでここにいるつもりだったけど先生に引き剥がされた! だから俺たち入学式出て、全部終わってからまたここに来たの! そしたらすぐ起きたんだよ!」
「そうだったんですね……というか1年生ってことはタメか。2人が入学式出てくれてよかった、私のこと気にかけて出なかったら申し訳ないなって」
「大丈夫だよ、ちゃんと先生に連れられたから。海斗は抵抗してたけど」
「朔夜だって心配してたじゃーん!」
「ふふ、ありがとう」
私はベッドから降り、ベッドの下に添えてあるスリッパを履く。そうだ、上履きはかばんの中だ。このスリッパは、誰かが用意してくれたのだろうか。
ベッド脇にあるカゴから、黒い合皮のスクールバッグを手に取る。
「2人とも心配かけちゃってごめんなさい。もう大丈夫だから帰ろうか」