薄氷
不登校、引きこもり、大検…そんな単語をあてもなく携帯で検索したところで救いは得られないまま、週末が過ぎた。

心ここにあらずという状態の陽澄に、母と祖母は戸惑うばかりで、ほとんど言葉を交わすこともなかった。

月曜の朝になったところで、有効な打開策を思いつくわけもなく、陽澄は布団のなかで身体を丸めていた。
母親が様子を見にきたら、また「体調が悪い」と答えるつもりだった。

実際体調はすこぶる悪い。
ろくに食事を摂っていないし、睡眠も途切れ途切れという有り様だ。

無理…と誰ともなくつぶやきながら、枕に頭を預けていると、遠慮がちにドアをノックする音がした。
のろのろと視線だけ向けると、母親が開いたドアから顔をのぞかせている。

「ねえ陽澄、起きれる?」

「無…」と言いかけるのを遮るように、口早にささやく。
「佐澤の息子さんが迎えに来てるわよ」

極度の混乱と不安に突き落とされると、なにもしないことのほうが、むしろ耐えがたかった。
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