薄氷
冬休みの間は彼に会わなかったので、平穏といえば平穏、どこか欠けているようなといえばそんな気もする休みを過ごした。

公立図書館で、以前彼に借りた本と同じ作家の作品を、無意識に検索している。
難しくてよく分からない、そんな感想だったのに、なぜなのだろう。

読むのに時間がかかるほうが、暇つぶしにちょうどいい…そう自分に言い訳しながら。

二週間ぶりに学校で顔を合わせた洸暉は、変わらず飄々としていた。
久しぶりー、とテンション高めで声をかけあっていた他のクラスメートの姿を思い浮かべると、わざとらしささえ覚えてしまう。

ひねくれてしまったのか、それとももともとこちらが地なのか、分からないまま彼と内階段に腰を下ろして、昼休みを過ごしている。

陽澄の髪をつまんで、すこし伸びたな、と彼がつぶやいた。
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