きらめく星と沈黙の月
「下手くそって言わないでよ!練習してるんだから」


碧は知らないだろうな…。


からかいのつもりの冗談が私を傷つけていること…。


碧の隣にいると、ただでさえ平凡な私がよりイモっぽく見える。


今まで何度陰口を叩かれたことか。


なんであの子が碧くんの幼なじみなの?


ってセリフはもう聞き飽きた。


「桜子ー、トイレ借りていい?大だから長くなる」


「はいはい。わざわざ報告しなくていいから」


家で済ませてから来ればいいのに。


てか、家は隣なんだから、自分の家ですればいいのに。


なーんて思う反面、わざわざ理由つけてメイクする時間を確保してくれる優しさを感じる。


碧は昔からそうだ。


私に限らず女子相手には、さりげない優しさを見せる。


相手が気づかないように、さりげなく。


それもきっと碧は無意識に。


だからモテるんだろうな…。
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