きらめく星と沈黙の月
「…無理やり退部届けを書かせるって最低だよな」


「え?」


桜子は…空き教室でも、倉庫でも、何か言いたそうだった。


それを聞かずに署名させ、俺だけの意思で退部させた。


「お前、そんなことしてたの?」


「……それだけじゃない」


先輩がボロボロになった俺のグローブを差し出してきたとき…。


「…女子の胸ぐら掴んで怒鳴り付けるって、最低だよな、俺」


あのグローブは、親父が中学生の時に使ってた物と同じものだった。


どこにでも売ってるわけじゃなく、親父の知り合いが特別に作ってくれたもの。


親父のと俺のとの2つしかこの世に存在しなかった。


それを貰ったのは小5。


親父が中学から使い始めたものを、俺は2年も早い小5から使える。


だから、とにかく嬉しくて、毎日毎日桜子に見せびらかしていた。
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