きらめく星と沈黙の月
「待っててね碧…」


濡れて重い体を無理やり動かし、全速力で自転車を飛ばす。


グレーに染まった視界では、数センチ先もよく見えない。


「碧……っ」


小学校の門はすぐそこ。


東門からならグラウンドが目の前に見える。


きっと碧はそこにいる。


「碧っ!!」


門の前に人影が見えた。


キキィッと急ブレーキをかける。


「あ…おい…」


雨に打たれ、白いシャツが透けている。


髪からは雫が滴り落ち、幾筋もの跡を首筋に残す。


力無くガードレールに腰かける碧の目に光はなかった。


「桜子……。風邪引くぞ…」


「何言ってるの…っ。それは碧でしょ……っ!ばかっ」


傘を差すのも忘れ、碧を抱き寄せる。


碧の身体は小刻みに震えていていて、小さかった。
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