きらめく星と沈黙の月
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「陽菜!遅い!何やってるの!」
電車を乗り継いで球場に着いたが、入り口でマネージャーらしき人が怒っていた。
「ごめんなさい!ちょ、ちょっとだけ待ってください!すぐ行きますから!!」
「はぁ!?」
陽菜はそう言って、私の手を掴み、球場内を走り回る。
「ちょっと陽菜!?」
「良い席案内してあげるから黙ってついてきて」
私がグズグズするのを見越して、強引に球場内に入ったんだな。
どこまでも陽菜様々だ…。
長い階段を駆け上り、案内されたのはバックネット裏の2階席。
「ほら、ここちょうど空いてる。はい、座って座って」
そして前から4列目の席に無理やり座らされる。
「この席はピッチャーの正面だからちょうどいいでしょ。はい、これ。双眼鏡。じゃあね!私仕事あるから!ちゃんと応援するんだよ!」