きらめく星と沈黙の月
淡々と語る碧には、もうさっきのような脆さはなかった。


碧はもう前を向いている。


「強いね、碧は」


土砂降りの中、原点を見つめて涙していた碧はもういない。


「…桜子がいるから」


「…え…?」


碧は、真っ直ぐな瞳で私を見つめる。


「桜子がいるから、俺は前を向ける」


ドクンっ


心臓が過剰に反応し、途端に身体が熱くなってくる。


碧の瞳が眩しい。


「人前で弱音を吐くのも、泣くのも苦手な俺が、桜子の前でだけは素直でいられる。だから、本当に感謝してる。ありがとな」


「碧……」


ホント…すごいよ。


すごいよ、碧は。


でも……だから心配でもあるんだ。


「ねぇ、碧。私の話も聞いてくれる?」
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