きらめく星と沈黙の月
「…大雅の指輪でしょ?なんで私に?」


「気まぐれや。他にあげれそうなもんもないし、ちょうどえぇやろ?」


にっこり微笑んで、大雅はバスから離れる。


「月川」


齋藤先生に急かされ、渋々車内に入ると、バスはすぐに動き出した。


窓の外で大雅がニコニコしながら手を大きく振っている。


「……変なの…」


絶対何か意味があるはずなのに…。


なんで私に指輪なんて…。


曲がりくねった山道で、大雅はあっという間に見えなくなってしまった。


「……大雅…」


やっぱり大雅には何かあるんだろうな…。


次会えるまで、元気でいてほしいな…。


「おい」


陽菜の隣に座るや否や、通路を挟んで隣の碧が声をかけてきた。
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