きらめく星と沈黙の月
「飲めそうなら飲んどいた方がいい。バス乗ってから1回も水分とってないだろ」


…見てたんだ。


ホントにずっと陽菜の様子を見てて、ずっと気にかけてたんだ。


羨ましいと思ってしまう自分が嫌だ。


私はどれだけ心が狭いんだろう。


陽菜は体調が悪くてそれどころじゃないのに。


「気持ち悪い……」


陽菜…ごめんね……。


大変な時に変なこと考えて…。


「トイレ行くか?歩ける?」


陽菜は、碧にしがみつきながら立ち上がり、そのまま腰を支えられて歩きだした。


「桜子もついてきて。トイレの中までは入れないから」


「…うん」


陽菜の腰に手を回す碧を見たくない、陽菜に触れないでほしい。


そんなふうに自分のことばっかり考えて、嫌な感情持っちゃうなんて、ホントひどいなぁ…私……。


陽菜は親友なのに。


陽菜は今苦しんでるのに。


ダメだな…私……。
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