きらめく星と沈黙の月
ぽん…ぽん…っ


「え……?」


頭に大きな温もりを感じ、そっと顔を上げると、碧は微笑んでくれていた。


「碧……」


「…俺もごめん。言い方キツかったよな。ごめんな?」


よかった……。


仲直り…だよね…?


「碧ーーっ」


ぎゅーっと碧に抱きつき、顔を見上げる。


私が大好きな優しい表情だ。


「私、さっきはあんなこと言っちゃったけど、未来が絶望的だなんて思ってないよ。信じて…?」


「んなことはわかってる」


「ホント…!?」


よかったぁ…。


あのとき、本気で怒ってるように見えたから傷つけちゃったのかと思ってた。


ホントによかった…。


「……俺、桜子に文句言われないくらい練習積んで、絶対甲子園に行く。だから待ってろ。最高の景色見せてやっから」


碧……。


そんなカッコいいこと言わないでよ…。


「もう何にも、誰にも、俺の邪魔はさせない」


秋にはまた予選がある。


今回みたいなしょうもないことで、碧を困らせるようじゃダメだ。


「碧…っ、応援してる。碧なら…藤北なら、絶対に夢は叶うよ…っ」


碧は私が支える。


碧なら夢を叶えられるって本気で信じてるから。


絶対に碧の邪魔をしないし、邪魔はさせない。


「ありがとな、桜子」


碧の夢はいつしか私の夢になっていた。


碧と最高の景色が見たい。


人生で1番輝いている碧の笑顔を見たい。



「……で、いつまで抱きついてるつもりだよ。近所の人に誤解されるだろ」


……。


「あっ…!ご…ごめん…!!」


いつもの勢いで抱きついてしまったけど、指摘されて急に恥ずかしくなる。
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