きらめく星と沈黙の月
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「おぉーい!!何やってんだ走れー!!」
ちびっ子たちが駆け回るグラウンド。
高校のグラウンドにはない鉄棒や遊具がある。
保護者用のテントの下は冬でも熱気で暑い。
「監督、ビックリするだろうなぁ。碧が甲子園出場だもん」
「そうだな」
碧の原点、少年野球。
ここにいると、小さな野球少年だった碧を思い出す。
いつもこのテントから碧を応援していた。
ちっちゃな体でエースを背負っていた碧。
「今投げてる子、碧に似てない?」
まだ4年生くらいなのに、上級生を差し置いて乱れのない球を投げ続けている。
負けん気に満ちたあの強気な顔も、自信ありげに振る舞うところも。
「今思えば、当時の俺って超生意気だったよな」
「まぁ…ね?」
小柄な碧にはピッチャーは向かないと言う監督の話を無視して、エースで投げさせろ、4番で打ちたい、などワガママ放題だった。
そんなワガママ坊主だったことに加えて、親がプロ野球選手だということもあり、碧には敵が多かった。
所詮二世だと陰口を叩く人を何人も見てきた。