きらめく星と沈黙の月
…結局、強要したか加担したかが違うだけ。


私は被害者よりも甲子園を選んだ。


その事実は変わらない。


「ごめんなさい」


もう、何に対して謝っているのかも分からない。


「……謝罪が聞きたいんじゃない。理由が聞きたいんだよ」


「…碧の夢を壊したくなかった」


碧の口調に苛立ちを感じ、反射的にそう答える。


「……そ」


冷たい一言と共に吐き出されるため息。


廊下の空気がとんでもなく重い。


「碧……」


「……何」


“次があるから”

“夏に向けて頑張って”

“応援してる”


そんなの私が言えるわけがないよね…。


碧からしたら私は夢を奪った悪人なんだから…。


「…ごめん、なんでもない」


「…もうこれ以上謝るなよ。めんどくさいから」


“めんどくさい”


その言葉は、鋭いナイフとなって私の胸を切り裂いた。


深く、深く…。
< 526 / 586 >

この作品をシェア

pagetop