きらめく星と沈黙の月
**
結局、桜子は隠蔽の強要を認めた。
そして、藤北の甲子園出場は幻となった。
「すみませんでした」
いつもはすぐに練習着に着替えて練習を始めるけど、今日はそんな気分になれなかった。
制服のままミーティングに参加している人は俺以外にも数人いる。
夏以降特に頑張っていたメンバーだ。
「本当にごめんなさい」
部員の前で桜子が深々と頭を下げている。
正直、謝罪にはなんの価値も感じない。
もう、辞退は決まった。
甲子園に行けないことが決まった。
もう遅い。
「隠蔽の強要がなければ、最悪の事態は避けられたかもしれないって考えてしまう」
制服姿の龍が放った言葉は、俺の気持ちを完全に代弁してくれていた。
桜子だけが悪いとは思わないし、元凶は松平。
それは間違いなくそうだけど、でも…。
隠蔽さえなければ、除名だけで済んだんじゃないかって考えてしまう。