きらめく星と沈黙の月
「…練習しようや」


真夜中のような静けさの中、大雅が口を開いた。


「まだ次の夏があるやん」


“次の夏がある”?


バカじゃねーの。


「簡単に言うなよ」


「簡単になんか言ってない」


甲子園常連の湘桜とは違って、ただの公立高校の俺らにチャンスが巡ってくることなんて滅多にない。


夏の甲子園に出るには、優勝が必須だ。


1年生が入ってきてチームが少し変わるのに、同じようなプレーができるとは限らない。


大雅がいた環境とは全然違う。


「ちゃんと覚悟持って言っとう」


なんの覚悟だよ。


試合に出るわけでも、練習に参加するわけでもないのに。


そんなムッとした感情が表に出たのか、隣の栗が肘でつついてきた。
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