きらめく星と沈黙の月
「…な、もう練習しようや。時間もったいない」


大雅が空気を変えようとしているのはよく分かる。


でも今はそれが鬱陶しかった。


「必死に頑張って掴み取った甲子園を、部員とマネージャーにぶち壊される気持ちがお前に分かるか?」


練習をしていた人間と、見ていただけの人間。


温度差をハッキリと感じた。


「…俺らの努力は何だったんだよ」


傷ついたような、悲しそうな顔をする桜子にイライラする。


傷ついたのはこっちだし、泣きたいのもこっちだ。


「…もう、顔も見たくないから帰ってくれ」


これ以上、桜子と顔を合わせたくない。


今の俺にはどうしても桜子を受け付けられないんだ。
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