きらめく星と沈黙の月
「…またか」


いつもアイツは屋上から俺らを見ている。


「…アイツが台無しにしたくせに、何なんだよ」


「……それはちゃうやろ。お前は、前に進めへん苛立ちを桜ちゃんにぶつけてるだけや。違うか?」


……。


「…しょーもないことで桜ちゃんを泣かすなや。あの子、毎日泣いてんねんで。授業中も、休み時間も、ふとしたときに泣いとう」


…なんだそれ。


泣きたいのはこっちだってのに。


「桜ちゃんを笑顔にできんのは、お前だけやねんで。俺は…これ以上桜ちゃんがツラそうにしてんのは見たない」


「アイツの笑顔なんか見たくねぇんだよ」


甲子園がなくなってから泣いたって何にもならない。


泣くほど悪いと思ってるなら、最初からやるな。


迷惑かけるだけかけて、悲劇のヒロインぶって。


なんなんだよ。


バカバカしい。


「屋上行ってくる」


「おい、待ちって」


一言言ってやらないと気が済まない。
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