きらめく星と沈黙の月
大雅の制止を振り切って旧校舎の屋上まで歩く。


─バーンッ


わざと大きな音を立てて屋上に入ると、桜子は驚いたようにこっちを見た。


「碧……」


桜子の頬には涙の跡が幾筋も残っている。


「…どういう神経してんの?」


「…え……?」


「どういう神経で、野球部の練習眺めてんの?って聞いてんだよ」


声を荒げないようにするのが精一杯だった。


桜子の泣き顔を見ていると、苛立ちが抑えきれなくなる。


「ごめんなさい……。もう来ないから…。もう、関わらないようにするから…っ。怒らないで…碧……」


グゥゥ…


拳に力を込めて苛立ちを抑える。


どうしようもなくムシャクシャする。
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