きらめく星と沈黙の月
「もう傷つけない。もう、誰にも邪魔させない」


「うん…」


夢を失い“無”だった碧はもういない。


碧はちゃんと前に進んでいる。


「今度こそ甲子園で勝負する。絶対負けねぇ」


勝負師碧の姿が今、ここに、ちゃんとある。


「だからさ…」


碧はそこで言葉を切った。


口を開くことを躊躇っているのか、碧は言いづらそうに目を伏せた。


「…何…?」


なんだか胸がドキドキする。


「絶対に甲子園に行く。だから…甲子園が終わったら…俺と付き合ってほしい」


え……?


今…なんて……。


「ダメ…かな…?」


今…告白された…よね…?


夢…じゃないよね…?


「…桜子…?」


「だっ…ダメじゃない!」


不安そうな碧に覗き込まれ、慌てて首をブンブン振る。
< 552 / 586 >

この作品をシェア

pagetop