それは、心からのキス
 
 
 
「美空――」


 いつもより少しだけ低いトーンで私の名前を呼ぶ弘人が、あの夜以降私たちの日常に加わった。

 弘人が私の唇に自分のそれを触れさせていき、耳元で囁いていく――ついてたよ、と。

 最初の夜と同じ言葉。


 頻繁ではない、けれど続く行為は、私たちが高校を卒業して大学生になっても、成人し自立するようになっても続いた。





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