周王 龍巳を怒らせるな
「出てくれるかな…?忙しいもんなぁ…」
長いコール音。
出る気配がない。

「やっぱ、忙しいよね……
少し時間をおいてまたかけよ……」
通話を切ろうとする、穂華。

『もしもし!穂ちゃん!?』
「あ、たっちゃん!
ごめんね…忙しいのに。今少しだけ大丈夫?」
『良かったぁ、間に合った!大丈夫だよ!
嬉しいなぁ、穂ちゃんからの電話。
どうしたの?昨日言ってた、先輩のこと?』
「うん、なかなか上手くいかなくて……
失敗ってゆうか、私が仕事のスピードがトロいから怒られてばっかなの……
そんな自分が情けなくて……
そしたらね、たっちゃんの声聞きたくなってかけたの。たっちゃんの声聞いて、また午後からも頑張る為の充電したくて……」

『そっか。きっと穂ちゃん、頑張りすぎなんだよ!
もっと身体の力抜いてしていいんだよ!
大丈夫。僕がいるよ!
穂ちゃんの為なら何でもするよ?
穂ちゃんのお願いなら、全部叶えてあげる!』

「フフ…ありがとう!
元気出た!また頑張れそう!
今日金曜日だし、明日明後日はお休みだから、たっちゃんといれるし、あとは午後の仕事だけだから頑張るね!
たっちゃん、大好き!」
『もう!そんなこと言われたら、会いたくなるでしょ?僕だって、穂ちゃん不足なんだよ!
帰ったら、いっぱい補充させてもらうからね!』

そして午後の仕事をなんとかこなし、穂華はジュエリーショップに来ていた。
しかも、龍巳の周王ジュエリーにだ。

「値段…高っ!
これは……払えない……」
龍巳にプレゼントしたいと思い立ち、どうせプレゼントするなら龍巳のお店がいいと思ったのはいいが、なにせ全国一のジュエリーショップ。
世界にも進出していて、それなりのブランド力があるのだ。
その為、穂華の想像を越える値段の高さだ。
< 20 / 52 >

この作品をシェア

pagetop