周王 龍巳を怒らせるな
僕が、怖い?
「たっちゃん、ずっと我慢してたの?
私が嫌がると思って」
「んー我慢してたつもりはないけど、気はつかうよね?普通…」
「私は気にしないよ?
俊くんはヘビースモーカーだったし…よく横で吸ってたから、慣れてるってゆうか……」

「………は?
それ……誰…?」
「え?」

この、何気なく言った言葉。
これが、龍巳の中のスイッチを押してしまう原因になってしまったのだ。

「たっ……ちゃん…?」

「穂ちゃん、言ってなかったけど……」
「う、うん…」
「僕の前で、僕以外の人間…あー特に男の名前を言っちゃダメだよ……!」
「あ、ご、ごめんね…」
どうしてかわからないが、言い返せない絶対的な圧迫感があった。
いつもの優しい龍巳なのに、龍巳のすぐ後ろに悪魔がいるような……
恐ろしい雰囲気に包まれていた。

瞬間的に、穂華は思った。

あ、この人……
とんでもない人かも…と。

いつか龍巳が言った
“これから先、僕から離れたくなる時が来ると思うんだ。
でも、放せない。”
と言う言葉がフッと甦った。

「穂ちゃんがいいなら、お言葉に甘えてここで吸わせてもらうね!
穂ちゃんの隣……放れたくないし……」

そう言って、穂華の隣で煙草を取り出した。
咥えて火をつけ、フーッと煙を吐いた。
「なんか…たっちゃんじゃないみたいだな……」
「え?」
「あ、違うの!
怒らないで?」
「大丈夫。こんなことで怒ったりしないよ!
てか、穂ちゃんには怒ったりしない。
とても大事な恋人だから。
それに、よく言われるよ。
煙草吸うような人には見えないって!」
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