周王 龍巳を怒らせるな
「うん、勝手なイメージだけど、煙草嫌いな方だって思ってた」
「そっか。僕、これでもヘビースモーカーなんだよ」
「えーー!
そんな風には全然…!!
…………あ、てことは……
ごめんね……」
目を真ん丸にして驚き、フと思う穂華。

「え?なんで、謝るの?」
「私のせいで、ずーっと我慢してたってことだよね?
お付き合いしてからだから、半年間?」
「だから!穂ちゃんが謝ることじゃないの!
言ってるでしょ?穂ちゃんの為なら何でもするって!
煙草我慢するくらい、どうってことないよ!」
微笑み、頭を撫でた。

「でも、しゅ…あ、いや…ヘビースモーカーの人って中毒みたいなもんだから、吸ってないとイライラして相手に当たっちゃうって聞いたよ?
私もよく、当たられたし……
でも、たっちゃんに当たられたことない!
むしろたっちゃん、いつも優しい…!」
また、俊の名前が出そうになり慌てて言い換えた。

「フフ…穂ちゃん、お利口さんだね!
どうせ、その人…元彼かなんかなんでしょ?
名前は一生出さない方がいいよ?
聞いてしまったら、僕はその彼に何するかわからないから……」
普通の会話のように微笑み、サラッと恐ろしい事を言う龍巳。
穂華がブルッと震えた。

「あ、でも…僕の穂ちゃんに当たってたって聞いたら、黙っていられないかも?
ちなみに僕は、どんなにイライラしてても穂ちゃんにだけは当たらないから、安心して?
僕は穂ちゃんを、愛して、幸せにしたいと思ってるから!」

と言うことは、誰か違う人に当たるということ?
……-と思ったが、まさか龍巳に言えるわけない。
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