周王 龍巳を怒らせるな
「穂ちゃん、僕が怖い?」
「少し……」
「だよね。
でも、穂ちゃんが僕の嫌がることしなければ、穂ちゃんが怖がることにはならないよ」
「うん…」

夜は外で食事をしようということになり、少し早めに外に出てデートする事になった。
「大丈夫かな?バレないかな?」
「フフ…大丈夫だよ!意外に人って他人を見てないもんなんだよ!」
「そうだよね……」
二人はしっかり指を絡ませて繋いでいる。

穂華はやはり、一緒に歩くのは不安だった。
バレるからというより、龍巳と自分ではつり合わないからだ。
“眉目秀麗”という言葉がぴったりな龍巳と“地味”な自分。
不安になるなと言うのは、無理な話だ。
すれ違う人達の視線が、どうしても気になるのだ。

「穂ちゃん、どこ行きたい?」
「………」
「穂ちゃん!?」
「は、はい!」
「どうしたの?」
「あ、ううん。
えーと、なんだっけ?」
「帰る?」
「え?」
「なんか、上の空だから」
「違うの!ごめんね…!
ただ、不安で……」
「不安?」

「私じゃあ…つり合わないから。
地味だし……」
「穂ちゃん、人の目を気にしすぎ!」
「そうかな~?」
「僕が、穂ちゃんがいいって言ってるんだから、それでいいでしょ?
それに、せっかくのデートなんだから楽しもう!」
優しく見下ろし、頭をポンポンと撫でた。

「うん!ごめんね…」
「じゃあ…どこ、行きたい?」
「んー?
服……見たいな!
……なんて…」
「ん。わかった!」
「いいの?」
「もちろん!なんで?」

「だって、しゅ…あ、違う!
男の人は嫌がるでしょ?」
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