周王 龍巳を怒らせるな

次の日、穂華が会社に出勤すると室内が騒然としていた。

｢希里ちゃん、どうしたの？｣
希里に聞いてみると、
｢高美先輩、いなくなったんだって！
金曜の仕事終わりから誰も見てないみたいだよ？｣
｢え？
美里先輩と同じだね……｣
｢だからね、仕事内容増えるんだって！｣
｢えーー！私、今でもいっぱいいっぱいなのに……｣
｢だよね……｣


その事を、夕食中に龍巳に話す穂華。
｢そっか…穂ちゃん、忙しくなるね……
参ったな…社員補充しないと……｣
龍巳が呟いた。
｢え？ごめん、最後聞こえなかった｣
｢ううん。わかった。家のことは気にしないで？
僕もできることはするから！｣
｢え？ダメだよ！たっちゃん忙しいんだから！
ちゃんとできるよ？私｣
｢ダメー！
でも、大丈夫だよ。僕達一緒に住んでるんだから！｣

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
次の日、穂華がマンションに帰ると、
｢穂ちゃ～ん！おかえり～｣
エプロンをつけた龍巳がいた。

｢たっちゃん？え？仕事は？｣
｢ん？終わったよ！今日は、僕がご飯作ったんだよ！｣
そう言って、ダイニングに誘導される。
テーブルの上には、ご馳走が並んでいた。

｢す、凄い…｣
｢どう？｣
｢これ、たっちゃんが作ったの？デリバリーとか…｣
｢もちろん、ちゃんと作ったよ！｣
｢たっちゃんって、何をしても完璧だよね…！｣
｢そう？食べよ？｣
｢うん！｣

｢いただきます！｣
｢どうぞ？｣
｢………｣
｢………｣
｢……美味しい～！｣
｢ほんと…！？よかった！
穂ちゃんが言うように、ドキドキするね。
口に合うかなって、穂ちゃんの顔を伺ってしまう｣
｢でしょ？
じゃあ…片づけるね！｣