周王 龍巳を怒らせるな
穂華はいくつか約束をさせられている。

一、何をするにも、龍巳の許可がいること
一、仕事以外で、龍巳以外の男を話さないこと
一、残業で遅くなる時、外出時の予定変更等は、一度龍巳に連絡してから許可を得ること
一、常に連絡がとれる状態でいること

「破ったら、問答無用で壊すからね」
と、爽やかに微笑みながら言われたのだ。

こんな最低・最悪な束縛。
でも穂華は逃げられずにいる。
逃げようとしても、すぐに見つかり壊されるのだ。


「うん、わかった」
そう言って、仕事に出かけた穂華だった。

仕事中も、常にスマホはデスクの上に置いている。
移動時はポケットに入れ、トイレにも持って入っている。

「そこまでしなくても……」
希里が、心配そうに話す。
「でも出なかったら、また……
それに機嫌悪くなると、部下の方に迷惑がかかるの。
こんなことなら、私に当たってもらった方がいいって思う位………」

そうなのだ。
穂華が言い付けさえ守れば、龍巳は優しく穏やかな素敵な紳士。
穂華を慈しむように愛し、穂華に全身全霊を注いでいる。
そして穂華もこんな状況にも関わらず、龍巳に惚れている。
だから、逃げない。

しかし穂華が耐え難いのは、機嫌を損ねた時、穂華ではなく部下に当たり散らし傷つけるのだ。

まさかにその姿は、狂犬のようだ。
悪魔が乗り移ったかのように、暴れて手がつけられない。
そして、穂華が抱き壊すことで正気を取り戻すのだ。

< 44 / 52 >

この作品をシェア

pagetop