これがリアルな恋愛事情〜好きの形はひとつじゃない〜
「岸くんも勉強しに来たの?」
“最近変じゃない?”という言葉がまるで聞こえなかったように言葉を返した。
「うん。1人で教室から出てった佐山さんに着いて来たんだけど、俺も勉強しよっかな〜」
後つけてきてたの?全然気が付かなかった。
少し間を置いて放たれた言葉に動揺を隠した。
「で、光輝がそんなに好きだったんだ?」
「んなっ!べ、別にそんなんじゃないからっ」
図書室だし、大声は出せない。小声で否定した。
岸くんにはバレてたってこと?
「ふーん。ま、別にどうでもいいんだけどさ。ギクシャクされると俺気使わなきゃじゃん?面倒じゃん」
もちろんそうじゃないって、私を心配してきたわけないよなって思ったけどさ、ほんとにそうだったんだって少しムカついた。
「別にそんな、ギクシャクなんかしてないし気使う必要ないよ?」
笑顔を作ってそう言った。
「俺が知ったように言うのもなんだけどさ、あんたの方が長い付き合いなわけだし。あいつは相当な鈍感野郎だけど良い奴なの知ってるでしょ?
佐山さんが好きになるのもわからんでもないけどさ、彼女が出来たからって光輝があんたと縁を切ると思うか?邪魔者扱いしたか?
してないよね?そんなことでモヤモヤするな、な?わかったかこら」