これがリアルな恋愛事情〜好きの形はひとつじゃない〜
謝ってきた岸くんだけど、口先だけ。
絶対そう。
なんだか分かる。
「もう食べた事だし帰ろーぜ」
「おっしゃ、帰ろ帰ろ」
学校からだったら、私の家も光輝の家も似たような距離だけど、ここからだと1番近いのは光輝。駅が1番学校に近いけど、1番遠くなってしまった。でも、私の家と駅は割と近いところにあった。
「朔翔。夜も結構遅いから環奈家まで送ってやってくんね?俺は通り道じゃねーし!駅だったら近いだろ?」
少しにしゃっと笑いながら言った光輝。それって、なんだかそれを口実に私と帰らせようとしてるみたい。それは多分、私たちがあまり仲良ないから。
「ええーーー」
と言いながら、私を見る。
「いや、別にそこまでしてもらう義理はないので大丈夫」
とことん嫌そうだったので、申し訳ないので断った。少しくらい1人でも大丈夫だと思うし
私と光輝は自転車だったけど、岸くんは歩きだったので3人で歩いて帰った。
どんどん光輝の家に近づいてくると変な緊張感が出てくる。
送ってく送ってかないの問題は置いておいて、途中までは絶対に道が同じなわけで、必然的に一緒に帰ることになるんだよなぁ。
心持つかな。
明らかに冷たい態度に私はいつも緊張する。
単純に人から嫌われるの怖いし、さらに嫌われるのも嫌。
無言で歩くのも気まずいのに、一人で帰る方が心が楽だわきっと。
「んじゃ俺ここ曲がった所家だからんじゃな!2人で帰れよ!」
そんなこんなで考え込んでいたら分かれ道が来て、光輝が家に帰ってしまった。
まあでも、2人で帰らざるを得ないと言っても5分程度、そこから先は私は駅までの道を少し逸れて行く。
「じゃなー!また明日〜」
光輝にバイバイをする岸くん。
私もバイバイをした。