ベタ惚れ副社長が逃がしてくれません!
遊佐side


ふー

深呼吸を合図にしたかのようにグラスの中の

氷が カラン と音を立てた

手の中のスマホは掛けるか掛けないか

を迷ってずっと起動していたためかその温か

さを手のひらに伝えてくる


「早く会いたい」

口から溢れ出たその言葉は愛しい彼女への言葉だ

少しずるくてもデートの約束が出来たことに

頬が緩まずにはいられない

酒の力もあるだろうが今まで断られることを

考えると口に出せずにいた


ゆっくりだけど少しずつ俺を見ればいい

夢中になればいい

生憎こっちは微塵も引くつもりは無い


だけど最近彼女の方も少し意識してくれてる

ような気もする


彼女の少し緊張した"おやすみなさい"の声を何

度も思い出しながらグラスを傾けた



遊佐side end
< 80 / 91 >

この作品をシェア

pagetop