眩しい輝きに惹かれて

「ふーん、なるほどね」

 煙草を吸い終わり、歌を聴き終わった社長は机の上にある灰皿に煙草を入れながら何か考え込んでる様だった。

 俺たちの事務所の社長は女性だ。

 でも、カッコいい。

 この人の一つ一つの仕草に俺は良く釘付けになってしまう。

 「健斗の弟だっけ?名前は?」

 ようやく俺たちの方を見る社長。

 その表情からは残念ながら、何を考えてるか読み取れなかった。

 俺と浩は高校2年にオーディションを受けた。正直、履歴書で落ちると思ったが浩は最初から受かるのが分かってた様に「オーディションで何歌うか決めようぜ」と先の話しをしていた。 

  そんな浩でさえ社長が何を考えてるかはわからないらしい。
  
  まあ、人の気持ちなんてそう分かるもんじゃないけど。

  「湊(ミナト)です!!!みなと!)

美奈は自分の名前にとを付けて男にとれる名前を咄嗟に思い浮かんだ様だ。

   でも、初めて合う社長を目の前にして緊張したのか机の下の手が震えていた。

 さっき歌を歌わせられた時はいつも通りだったのにな。

 本当にすげえやつ。
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