天敵御曹司と今日から子作りはじめます~愛され妊活婚~
「まあ、そうだけど。その代わり性格に難があるから。論破する気満々の部下を追いつめてニヤニヤしたりとか」


ちょっと、それは私のこと?


「そうですね。難ありです」


上司に対してとんでもなく失礼な発言だが、小暮さんはこういう冗談に乗る人だと知っているのであえて口に出した。


「うわ、グサッときた。気をつけます」


おどけた調子でふざける彼から企画書を受け取って自分の席に戻った。

はぁ。またダメだった。

企画を練っているときは最高の考えだと自信満々なのに、小暮さんの前に行くと数分でその自信も木っ端みじんになる。


「まーた、闘ってたね」


隣の席から茶化してくるのは、同期入社の箕浦(みのうら)仁美(ひとみ)だ。

彼女は一年半ほど前に、三年間交際を続けていた彼氏との恋を実らせて結婚した新妻。左手薬指に結婚指輪が光っている。


「うん。そして敗北」
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