魔法の恋の行方・わがままな使い魔(シリーズ2 クラリスとアンバー)
交流会5日目 16-17ページ
<グスタフ皇国・王宮・音楽室・交流会5日・翌日10時>
交流会5日目は
王宮の音楽室が会場となる。
参加者は一人ずつ皇帝の前で、
楽器や歌、踊りを披露することになっていた。
6人・・いや5人しかいない。
皇帝の前に並んだ椅子には、
一つ空席があった。
「クラリス様・・
いらっしゃらないのですか?」
係りの側近が呼びかけるが、
それに答えるものはいない。
「しかたがない。
それでは始めよう・・」
と皇帝が言った時、
窓から入って来た男が、言った。
イーディスだった。
相変わらず気取ったしぐさで、
皇帝の前に進み礼をした
「連絡いたします。
クラリス様はご気分が悪いという
ことで、
本日は欠席させていただきます」
それだけ言うと、
一礼をして、窓から出て行った。
主が主なら、使い魔も大問題だ!
礼儀も何もない!
本当に無礼な奴!
アンバーは怒りを、必死でこらえていた。
側近が声をかける。
「準備をお願いいたします」
参加者はそれぞれ、楽器や楽譜を
用意し始めた。
アンバーが最後だった。
アンバーは、ミエルと連弾で
クラビィーアを弾く予定だ。
ミエルは、
クラビィーアの名手であり、
その音は
聴く者の心を、とろけさせてしまうほど。
アンバーは幼い時から
ミエルの個人レッスンを、受けていた。
音楽室の中央に
2台のクラビィーアが準備された。
アンバーは皇帝を見た。
皇帝は笑顔でうなずいた。
美しい旋律が
波のように寄せては引いて
消えていく。
アンバーは
音を紡ぎながら、
ふと
クラリスの踊りを思い出した。
ああ、
あの猫たちとの踊りに、
この旋律があったら・・・
きっと
満月の池のほとり、
木の葉が舞い散り、金の髪が輝く、ゆらめく・・・
魔法の世界は美しい・・
演奏が終わった。
しばらくの静寂の後、
大きな拍手が起こった。
それも、5人の中で一番大きい拍手だ。
ミエルがアンバーにむかって、
微笑みかけた。
アンバーは
皇帝に向かって礼をして、
席に戻ろうとした時、
カーテンの陰にいたクラリスの姿がかすった。
アンバーはうつむいた。
罪悪感、後味の悪さ・・
苦い想い・・
美しいものを傷つけたようで・・
自分の手で・・・
結果は
アンバーが1位だった。
交流会5日目は
王宮の音楽室が会場となる。
参加者は一人ずつ皇帝の前で、
楽器や歌、踊りを披露することになっていた。
6人・・いや5人しかいない。
皇帝の前に並んだ椅子には、
一つ空席があった。
「クラリス様・・
いらっしゃらないのですか?」
係りの側近が呼びかけるが、
それに答えるものはいない。
「しかたがない。
それでは始めよう・・」
と皇帝が言った時、
窓から入って来た男が、言った。
イーディスだった。
相変わらず気取ったしぐさで、
皇帝の前に進み礼をした
「連絡いたします。
クラリス様はご気分が悪いという
ことで、
本日は欠席させていただきます」
それだけ言うと、
一礼をして、窓から出て行った。
主が主なら、使い魔も大問題だ!
礼儀も何もない!
本当に無礼な奴!
アンバーは怒りを、必死でこらえていた。
側近が声をかける。
「準備をお願いいたします」
参加者はそれぞれ、楽器や楽譜を
用意し始めた。
アンバーが最後だった。
アンバーは、ミエルと連弾で
クラビィーアを弾く予定だ。
ミエルは、
クラビィーアの名手であり、
その音は
聴く者の心を、とろけさせてしまうほど。
アンバーは幼い時から
ミエルの個人レッスンを、受けていた。
音楽室の中央に
2台のクラビィーアが準備された。
アンバーは皇帝を見た。
皇帝は笑顔でうなずいた。
美しい旋律が
波のように寄せては引いて
消えていく。
アンバーは
音を紡ぎながら、
ふと
クラリスの踊りを思い出した。
ああ、
あの猫たちとの踊りに、
この旋律があったら・・・
きっと
満月の池のほとり、
木の葉が舞い散り、金の髪が輝く、ゆらめく・・・
魔法の世界は美しい・・
演奏が終わった。
しばらくの静寂の後、
大きな拍手が起こった。
それも、5人の中で一番大きい拍手だ。
ミエルがアンバーにむかって、
微笑みかけた。
アンバーは
皇帝に向かって礼をして、
席に戻ろうとした時、
カーテンの陰にいたクラリスの姿がかすった。
アンバーはうつむいた。
罪悪感、後味の悪さ・・
苦い想い・・
美しいものを傷つけたようで・・
自分の手で・・・
結果は
アンバーが1位だった。