となりの紀田くん-season 2-
「顔をあげてください…ミチルさん」
精一杯優しい声で
精一杯優しい笑顔で
要はハッキリと言う
父さんが顔をあげると
その瞳には涙が溢れていた。
「私、ミチルさんのしたこと許せません。許すつもりもありません。でも…私も同じような事をしましたお互い様です。
何度も何度もこの手で大事な息子さんの心をズタズタのボロボロに引き裂いてきました!!
ごめんなさい!!」
思いっきり頭を下げて
すぐまた顔をあげた要の
瞳にも涙が溢れていて
素直に綺麗だなって思った。
父さんは首を振ると
「その大事な息子の心をズタズタに引き裂いたのは私たち両親でもあるから…要が気に病むことはない…それに裕也」
言葉を繋げて俺を
まっすぐ見据える
「お前は雰囲気が変わったな。あの時以来、心を閉ざしたままだったお前が今は輝いて見える。好きな子できたのか?」
そう言って涙目ではにかんだ人は
もう間違いなく俺の父さんで
あぁ、やっぱりこの人は
俺の父さんなんだなと
改めて実感することができた。
2年も離れていたのに
俺のことなんてお見通しで
「できたよ。絶対に死んでも手離したくないぐらい大好きな奴が…だから日本に帰らなくちゃならない。でも、その為には戦わなきゃいけない」
俺の言葉に目を伏せると
再び目を開いて真剣な顔つきになる。