となりの紀田くん-season 2-
「なんかバラエティ番組に出てほしいって言われたらしくて」
「へぇ。あいつと出るんだ?」
「だって…仕事だし…?」
「はいはい、分かってますよー」
私の言葉に今度は深い
ため息をついたかと思えば
拗ねたように唇を尖らせる紀田
まるで子供みたい。
「まーた、拗ねちゃって。心配しなくてもただの仕事仲間だから大丈夫だって!」
「は!?拗ねてねーし!!」
「はいはい。じゃ、私お風呂入ってくるね」
後ろでギャーギャー騒ぐ
紀田を放置して私は
脱衣所へ向かった。
とにかく…バラエティ番組に
出させてもらう以上今よりもっと
気持ちを引き締めないと。
これからはアニメにちなんだ
ラジオ番組とかも増えるだろうし
それらへの第1歩になるわけだ…
さらには新人の私からしたら
大先輩たちしかいないわけだし
何しろテレビ中継だから顔も
出るわけで…失敗はできない…。
そんな一抹の不安を振り払うように
着替えをぎゅっと握りしめたーーーーー。