となりの紀田くん-season 2-
向かったのはいいんだけど
何故か日丸先輩も一緒にいて
「いや、本当…先輩すみません。なんか今ラインきて少し遅くなるみたいなんで、先に帰って大丈夫ですよ!」
待ち合わせ場所まで送ってくれた上に
紀田が来るまで一緒に待つと言って
くれた矢先の紀田からのメール。
夜も結構遅いし、先輩も
確か朝から仕事入ってたはず…
そう思って帰るよう
言ってみたのだけど…
「んー?大丈夫。こんな時間に女の子1人にできないからね」
日丸先輩は優しく微笑んで
その場を動こうとしない。
「あ、ありがとうございます。」
申し訳ない気持ちでいっぱいだけど
これ以上、無理に帰らせようとするのも
かえって失礼な気がしたからやめた。
「そういや、この間の恋愛アニメの収録この前終わったじゃん?あれ、最後ハッピーエンドで終われて良かったね」
「へ?あ、あれですか!そーですね!」
しばしの沈黙の後
いきなり先輩が口を
開いたもんだから
一瞬、頭にハテナを
浮かべたものの
すぐに内容を理解して
うんうんと頷きながら
ヒーローもヒロインも
幸せそうでしたね!
と笑って返事をする。
「ねぇ…あのさ…ゆあちゃん」
深夜24時を過ぎた駅前には
人の気配などほとんどなくて
先輩の声が夜空に響く
前を向いていたはずの
先輩が気づいたら私の
方を向いていて
私も自然と先輩の
方を向き視線が重なる。