となりの紀田くん-season 2-
腕を引かれ車がある場所まで
向かうと無言のままドアを開け
私を助手席に座らせる
やばい…紀田かなり不機嫌だ。
いろいろとオーラがやばい。
紀田はそのまま運転席に乗り
静かに車を発進させた。
ここから私たちの住む
マンションまで地味に
距離がある為
それなりに時間が
かかるのだけど…
この無言の空気が
いたたまれない。
けれど、そんな私の気持ちを
汲み取ってか紀田がうっすらと
ぶっきらぼうに言葉を発した
「鈍感バカ女。」
「へ?」
それはあまりにも
突拍子のない言葉で
思わず間抜けな声が出る。
「はぁ、ほんとお前バカ。猿。……何で、他の男に告白されそうになってんだよ」
紀田は盛大なため息をつくと
再び私を貶し始めて、最後は
もはや小さすぎて聞き取る
ことすらできなかった…。