となりの紀田くん-season 2-



「は!?え、ちょっと待って!?何で私そんなに貶されてんの!?」



「は?お前がバカだからだろ。他の男に色目使ってんじゃねーよ」



「なっ!?」



さっきまでの怒りオーラは
どこかに消え呆れたような
顔をする紀田がチラッと
私を横目に見る




色目!?
何言ってんだコイツ!!


確かに先輩はイケメンだし
声もイケボで素敵だし
優しいし気が利くし
完璧な人だけど!!



だからって私がいつ日丸先輩に
色目を使ったって言うんだ。




「はぁ、その無自覚なところがたまらなくムカつく。んでもって、高校の時からそーだけど…お前のその無防備さどうにかなんねーの?」




視線を前に戻しハンドルを
切りながら何度目かわからない
ため息をつく紀田にはもはや
殺意しか沸かない



「いや意味わかんない!色目使ってないし、無防備とか言われてもよくわかんないし!」




キッと紀田を睨みつけるけれど
そんな私の睨みなど意に介さず
テキパキと駐車場に車をおさめると




「とにかく、俺を不快にさせた罪はすげー重いから…覚悟しろよ?」




今度は妖艶に不敵な笑みを浮かべて
先に車を降りて助手席側に回ると
私を下ろしてそのまま腕を引いて歩き出す。



え!?なに、なんなの!?
別に私、悪いことしてなくない!?



内心焦っている私のことなど露知らず
後ろ手に鍵のボタンを押すと車の
ドアがロックされるのが分かった。



そしてそのまま急ぎ足に
マンションに入りオートロックを
解除して慌ただしくエレベーターに乗り込む。
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