白鳥学園、いきものがかり
六つに分けられたケースから、慣れた手つきで一か所開けて取り出す。
「水買ってきました。飲めそうですか?」
「僕ストロー持ってるからそれ使おっか」
「日陰あった。そっちの方がいいと思う」
ま、待って。
「だ、だいじょうぶ…多分貧血だと思うから…!」
みんなこっちを見てる。
それに今から入学式なのに。
「私保健室行くから、みんなは戻って——————、」
そんな事お構いなしだった。
スタスタと移動開始。
向かうのは累が見つけてきた日陰。
「ま、待って!入学式…」
「それよりも紬が重要」
「じゃ、じゃあ自分で歩く…」
「言っただろ。もう離れるなって」
言ってたけど…!
でもみんなの視線が。
有名な五人がここに居て、いくら変装してても隠し切れないオーラみたいなものはあると思う。
何かを察した傑が唇を緩ませた。
「心配するな。俺がずっと傍にいる」
その心配をしてるわけじゃないよ…!