白鳥学園、いきものがかり
気が付いたら家にいた。
どうやら紘が送ってくれたらしい。
目が覚めた時、丁度ママが私に布団を掛けてくれていたから。多分そう。
「目が覚めた?やっぱり夜更かしは駄目ね」
そう言って頬を包む。
微笑むママに私も自然と笑顔になる。
「まだ寝てていいわよ。今日はママ、お家にいるから」
忙しいはずなのに。
「ごめんね…」
「なーに言ってるのよ。子供は甘えてなんぼよ!」
子供って…。
「私だってもうすぐ16歳だよ?」
「ふふ、でもずっとママの子よ」
そう言って、ママは額にキスをしてくれた。
昔、病院が嫌だと泣いていた毎日に、そのキスが私にとって元気になる魔法の一つだった。
「おやすみ、紬。また後で来るわね」
……そう言えば…ケーキ、忘れてた。
紘に聞くの忘れてた。
持ってきてくれたかな?
後で聞いてみようかな…、
瞼を閉じ、ゆっくりと息をした。深い眠りについて、私はケーキの存在を忘れていった。
──────そう、その時は。